それはもう芸術品!幻の南関そうめん!
玉名郡南関町には全国的にも珍しいすべて手ごね手延べの素麺「南関そうめん」があります。
南関そうめんの歴史は、250年とも300年とも言われ、一説によると、中国で修行した小豆島のそうめん作りの職人が、旅の途中この地に立ち寄ったところ、大変親切にもてなされました。上質の小麦粉や食用油がこの地で産出され、気候風土もそうめん作りに適していたため、その製法を伝えたと言われています。
このそうめんは、茹でても伸びないほどのコシの強さと、シコシコした歯ざわりが特徴です。江戸時代には、当時の肥後藩主が参勤交代の際に、肥後の土産として必ずこのそうめんを将軍家に献上されていました。
現在、手ごね手延べで南関そうめんを作ると認定している南関町関素麺製造組合に加入している製麺所さんは10か所あります。
今回はその中でも江戸時代から続くその技法を受け継ぐ製麺所のひとつである「雪の糸素麺 猿渡製麺所」をご紹介します。
チャーミングな笑顔が素敵な10代目の師富慶太朗さんは、冬晴れの屋外で、両手に持った竹棒を器用に操りながら、どんどん生地の太さが0.1~0.5ミリほどになるまで引き延ばしていきます。
そうめん作りを支えるのは、地元南関産の竹や使い込まれた道具達です。そうめんを切るための桑切包丁は、もともと全部同じ大きさ形であったというのです。大切に道具も代々受け継がれているなんてびっくりします。
そして祖母である9代目から教えられた気温や湿度に左右される水の量や塩加減を覚えることに苦労しながらも、10代目をしっかりと受け継いだ師富さんは歴史の味と製法をこれからも守り、磨いていかれることでしょう。
私が感動した南関そうめんの風景をご紹介します。冬の太陽の光をきらきらと浴びて寒風に吹く度にさざめく南関そうめんの姿は、まるで空間そのものが芸術になったようです。
私はこれを目にした時、もし風の姿を見ることができるならば、こんな美しいものなのだろうと感じました。是非、製麺所さんに事前確認をして一度見てほしい風景です。
すべて手作業で行われる南関そうめんは24節気の大寒を中心に寒そうめん作りが盛んになります。冬の寒さが南関そうめんを引き締め、さらなるコシの強さを生み出します。そうめんを食べる事が好きなプロフェッショナルの方は、冬に寒そうめんを購入されて夏まで待って、涼を楽しむそうですよ?
全て手作業の南関そうめんは決して安くはありませんが、その値段以上の美味しさがあります。是非、有名になるほど在庫が作れない、幻の南関素麺を味わってください。
Information
「雪の糸素麺」猿渡製麺所
住所:熊本県玉名郡南関町大字下坂下2889-1
TEL: 0968-82-8660
営業時間:9:30〜16:30(休:年末年始、お盆)
定休日: 毎週 木・金
公式ホームページ https://saruwatari-seimen.com/about/
Instagram @yukinoito_somen
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